開催概要

高校生が農地の石積み修復技術を競う大会です。無事に終了しました。第2回石積み甲子園についてはこちらをご覧ください。


優勝:愛媛県立伊予農業高等学校

審査員特別賞:岡山県立新見高等学校


開催日時:2023年11月4日(土)9時00分〜16時00分

開催場所:徳島県名西郡神山町神領谷(徳島県立城西高等学校神山校周辺)

参加校:徳島県立城西高等学校神山校、岡山県立新見高等学校、愛媛県立伊予農業高等学校、愛媛大学附属高等学校

主催:一般社団法人石積み学校

協力:徳島県立城西高等学校神山校、WEEK神山、神山バレーサテライトオフィスコンプレックス、かまパン、里山みらい、Caffe ESTATE、TE TE CHA

後援:神山町、神山つなぐ公社、徳島県、徳島大学 人と地域共創センター

協賛企業

開催の趣旨

 空石積みは地域の環境に応じて人間側が合わせる技術であり、古くからある技術でありながら地球環境との共生が求められる時代に有望な技術です。とりわけ空石積み(以降、石積みと呼ぶ)は近隣にある自然石のみを使うため材料の製造・運搬過程でのエネルギー消費が小さく、環境負荷が低いという特徴があります。また、石積みは自然石をそのまま使い、セメント等の接着・充填剤を用いないため石と石の間に隙間があり、背後の土とミクロな空間が繋がっているため様々な動植物の住処となり、さらに生物・水・空気を含めた物質の移動路となります。これらは自然環境に対して力の弱い人の力によって十分な強度を効率的に得るという農作業の一部として行われてきた石積み技術によってたまたま生まれた特性であり、客観的な基準を用いた計画に則って自然環境を従わせるように発展してきた近代の土木技術とは異なります。例えば農地の石積みのラインは地形や岩盤の有無によって定められ、出てきた石の形や量に応じた積み方をしていたと考えられます。つまり石を積む人は環境を読み解き、どう折り合いをつけるか自然環境と常に対話しながら作業していたと言えます。これは石積みが環境との共生が強く求められる時代において意義のある工法たらしめると同時に、その実践を通じて人を育てる効能を有すると考えられます。

 石積みはどれだけ熟練した人でも反省の余地があると言います。つまりどの技術レベルの人が石積みをしても限りなく力学的なセンスと手仕事のスキルが身につける楽しさがあるということです。また、石積みは多様な自然環境への細やかな理解を促し、さらに現場をマネジメントするスキル、グループで協力する社会的スキル等を身につけ鍛える機会となりえます。また、中山間地域で行う活動は地域毎に細やかに異なる生活文化の多様な知と、それが表出する風景の価値を理解し存続・継承する機会となり、生活知と風景の多様性の保全にも貢献しうると考えます。私たちは、これらの特性がこれからの時代に生きる人にとって重要な役割を果たす学びであると考え、高校生の全国大会として「石積み甲子園」を開催することにしました。